【免責】本記事は境界知能当事者の体験と一般情報の共有であり、医療・法律・個別就労に関する助言ではありません。判断は専門機関の説明に基づいて行ってください。緊急時は#7119等の公的窓口へ。
今回ご紹介するのは
『教師、支援者、親のための 境界知能の人の特性と支援がわかる本』(中央法規出版)です。
境界知能の当事者として、実際に読んだ感想とおすすめポイントをご紹介します。
困りごとが多い境界知能。
学校や職場でトラブルが多かったり、何をしてもうまくいかなかったり…つらい思いをしていませんか?
まずは境界知能の特性を知り、困りごとの内容を明確にすることが大切です。
困りごとの内容が明確になれば、内容に合わせた対策を見つけることにつながります。
支援者向けの本ですが、境界知能当事者が読んでも参考になるおすすめの一冊です。
- 境界知能の特性からおこる問題事例
- 境界知能の特徴と特性
- 境界知能と発達障害・知的障害の違い
- 困ったときの相談先
- どんな場面でどのような支援が必要なのか
- トラブル・非行リスクを下げるためにはどうすればよいのか
境界知能の特性からおこる問題事例
この本では、実際におきた問題事例が5つ挙げられています。
どの事例も境界知能と気づかれないまま成長したあとに問題がおこり、問題があってから境界知能だとわかっています。
境界知能だと気づかれないまま周囲からの理解も得られず、居場所を求めて行き着いた先でトラブルに巻き込まれてしまう現実があります。

できることなら、問題がおこる前に対策をとりたいですよね。
境界知能の特徴と特性
知能検査でIQ(知能指数)が70〜84となる状態が「境界知能」です。
※IQの定義・分類については、日本精神神経学会や厚生労働省の情報も参考にしてください。
参考:厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」
境界知能と気づくためには、境界知能のことを知っていなければいけません。
など、境界知能の特徴と特性が詳しく載っています。
境界知能と発達障害・知的障害の違い
できることとできないことの差が大きいのが発達障害、境界知能は能力が全体的に低くなりがちです。
知的障害・発達障害・境界知能の違いが詳しく書かれていて、それぞれの苦労がよくわかります。
知的障害と発達障害が「障害」であるのに対して、境界知能は障害ではありません。
そのため支援につながりにくく、これが境界知能の人を苦しめる理由のひとつとなっています。
学校生活・メンタルヘルス・就労はすべてつながっています。
うまくいかないことが続いて自信を失い、メンタルの不調につながってしまうこともあると言います。
困ったときの相談先
「境界知能かも?」と思ったときの適切な行動が書かれています。
※知能検査や総合的な評価は、専門職による実施が必要です。
自己判断ではなく、医療機関や専門機関への相談をおすすめします。
- 医療的な支援:すでにメンタルの不調があるなら医療機関へ
- 福祉的な支援:知的障害や発達障害がある場合は障害者手帳の取得も検討できます
- 教育的な支援:発達障害者支援センター、自治体の障害福祉課へ
- 就労支援:ハローワークの就労支援窓口、精神保健福祉センターへ
どんな場面で どのような支援が必要なのか
「境界知能の人は具体的にどんなことに困っているのか」
困りごとの内容に合わせた支援が載っています。
人間関係がうまくいかなかったり、お金の管理ができなかったり…
境界知能の人はトラブルに発展するような困りごとを抱えていることがあります。
境界知能の人が抱える困りごとを理解することで、未然に防げるトラブルはたくさんあると思います。
トラブル・非行リスクを下げるために
トラブルや非行リスクを下げるためには、境界知能に対する理解と支援が必要です。
周囲の理解がないと、そんなつもりはなくても境界知能の人を追い詰めることになってしまうかもしれません。
たくさん叱られたり責められ続けると、誰だってつらくなります。
境界知能に対する理解があれば、未然に防げることがたくさんあると思います。
【ここがキモ!】なるべく早い段階で支援することが重要
この本のいちばんのメッセージです。
境界知能の判明が早ければ早いほど、より適切な支援につなげられる可能性が高まります。
二次障害のリスクを下げて、境界知能当事者の「人生の質」をより上げることが期待できます。
「働くこと」がつまずきを防ぐことにつながる
働いてお金を稼いで生活する。
「そんなことはあたりまえ」と思われるかもしれないけど、境界知能の人にとってはあたりまえのことではないと思っています。
長く続けられる仕事と職場が必要です。
- 何をして働くか
- 誰と働くか
仕事内容がどれだけ合っていても、環境や人が合わなければメンタルの不調につながる可能性があります。
境界知能に理解がない職場で働き続けることは、本当に消耗します。
仕事・勉強・スポーツや習い事など、「自分ができること」に活動エネルギーを注ぐことが大切だと感じています。
早めに始める「キャリア教育」がつまずきを防ぐ
この本で「キャリア教育」というものを初めて知りました。
キャリア教育とは、将来の仕事や生き方について考え、自立して生きていく力を育てる教育のことです。
著者はこの「キャリア教育」を小学生のうちから始めることが重要だと提言しています。
- どんな仕事があるのかを知る
- 自分に向いている仕事を知る
「自分に向いていることは何か」を意識して行動すれば、できる仕事も見えてくると思います。
【感想】この本は「生きづらさ」を和らげるヒントになる
読んでみていちばんに感じたことは、「こんなに理解してくれているんだ」ということです。
病院で知能検査を受けても、職場で訴えても、理解してもらえたことがありませんでした。
だからこそ、読んでいて本当にうれしかったです。
著者の梅永雄二先生は難しい言葉を少なくしてくださっていて、境界知能当事者にも読みやすい内容になっています。
本のサイズも大きめで、見開きで図解と文章が載っていてとても見やすいです。
境界知能は見た目だけではわかりません。
まずは境界知能のことを知ってほしいのです。
まとめ
「どんな仕事をして生きていくのか」
自分に合った仕事・職場があれば、トラブルや非行リスクも下げていけるのではないでしょうか。
そのためにできる具体的な行動が書かれています。
少しでも早いうちに学ぶ環境・働く環境を整えていければ、困りごとは減らせると思います。
境界知能当事者おすすめの一冊です。

ぜひ読んでみてください!
著者プロフィール
梅永雄二(うめなが ゆうじ)
早稲田大学教育・総合科学学術院教育心理学専修教授。博士(教育学)。臨床心理士、自閉症スペクトラム支援士Expert、特別支援教育士SV、公認心理師。 Godo-shuppan
慶應義塾大学文学部社会・心理・教育学科卒業。筑波大学大学院教育研究科障害児教育専攻修了。専門は発達障害臨床心理学、職業リハビリテーション学。 Kanekoshobo発達障害・境界知能の就労支援を長年研究されている専門家です。
本記事について
執筆者: みさき(境界知能当事者・発達障害特性あり)
執筆ポリシー: 当事者の体験をもとにした情報共有を目的としています。医療・法律・個別就労の助言は行っておりません。
利害関係: 本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。書籍リンクと出典リンクは分けて表示しています。
最終更新日: 2026年


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